2023年7月14日(金)公開『君たちはどう生きるか』
原作・脚本・監督: 宮崎駿(※「崎」は正式には「たつさき」)
あべのアポロシネマです。
本日はスタジオジブリ最新作、引退作と言われていた『風立ちぬ』から10年、宮崎駿監督が遂に帰って参りました。
宮崎監督の完全オリジナルによる新作映画『君たちはどう生きるか』のご紹介です!
1937年(昭和12年)に子供たちの為に書かれた吉野源三郎の小説「君たちはどう生きるか」。
自由とは、生産関係とは、ヒューマニズムとはという難しそうな内容をコペル君という主人公を通し、学校であった様々な出来事を例に取りながらおじさんとノートでやり取りを交わす事で、より共感出来るように、よりわかりやすく理解できるように一緒に考えていこうという本です。
軍国主義に流れていく世論を憂いた山本有三、吉野源三郎らが子供たちにこそ考えて欲しいと出版した本で、日本の児童文学の倫理小説の草分けとして、未来に希望を託す思いを非常に感じる一冊です。
今読んでも様々な気づきが得られる素晴らしい本で、人の持つ普遍性というものを非常にわかりやすく本に落とし込んだ作品だと思います。
第二次世界大戦が始まる1939年(本が発売して2年後)には言論統制により本の販売は停止され、戦後まで再刊はされる事はありませんでしたが再び刊行されてからは、今なお読み継がれる作品となっています。
また、数年前にこの小説を原作に漫画が執筆され200万部を売り上げ大ヒットしたのも記憶に新しいところです。
そんな作品に幼少期から触れ、強くインスパイアを受けていた宮崎監督が作品としては完全にオリジナルではあるものの、タイトルをこの本から取り、6年かけて作り上げた新作が今作『君たちはどう生きるか』なのです。
この作品は今までの作品と違い、宣伝や広告を一切使わず、予告編や公式サイトも一切作らず、どんな内容になるのかどんなキャラクターが登場するのかなど一切語られる事なく作られました。
ここまで徹底して内容を明かさず、試写会なども一切行わず、誰も内容を知らないまま公開まで漕ぎつけたのは本当に異例の事と思います。
パンフレットも公開日からではなく公開後発売予定とのことで、何も前情報を入れずに映画館で観て下さいという、制作サイドの強い意志を感じずにはおれません。
元々、私はこの作品のタイトルを見て吉野源三郎原作で、本の内容を踏襲したアニメ作品になるのだろうと思っていましたが流石、宮崎駿監督はとんでもないです。
内容はあくまで完全オリジナル。
そして物語は若々しいファンタジー作品になる、という事前情報があり、「君たちはどう生きるか」でファンタジー作品になる、という事実に混乱と驚きの感情が渦巻いたのを憶えています。
見ればわかる。
そう宮崎監督に言われている様な気さえしますが、やはり映画は見なければわからない事ばかりです。
公開数日でネット上はネタバレの嵐になっていますが、それをたとえ読んだとしても、やはり自分の目で確かめて頂きたい作品になっています。
勿論情報を入れずに見て頂くという映画体験が1番素晴らしいのは間違いないのですが、こんな世ですから嫌でも目にネタバレが飛び込んで来ることは、いくらでもある事と思います。
例えその文章が重大なネタバレであったとしても、皆様がこれから感じる新しい映画体験を体験として損ないきる事は決してないのです。
私はそれぞれの映画が持つ画の力というものを特に信じているのですが、どのシーンを切り取っても、その前後が気になる様な引き寄せる画を持っている映画は、やはり素晴らしい映画が多いように感じます。
なんだ今のシーン、どうなっているんだ?が連なって出来ている映画のなんと素晴らしい事か。
そしてこの『君たちはどう生きるか』がそういった惹きつける画を無限に持った作品であるという事をここに明言させて頂きたいと思います。
そして最後に。
ジブリと言えばその安定した作画力、表現力が有名で、ジブリならではのものが沢山ありますよね。
炎や木々の揺らめきや躍動感あるキャラクターモーションなどやっぱりジブリでしか味わえないものが沢山あるなと改めて感じました。
映画の冒頭のシーンの表現などは昔からジブリで見られるものでありながら、新しい表現方法を感じられ、今なお進化を続けるチャレンジ精神に身震いする様な感動を覚えました。
それでこそジブリ。
まだもっと見ていたい。
この映画はそんな気持ちにさせてくれる作品です。
宮崎駿監督最新作『君たちはどう生きるか』はその問いを我々に問いかける作品ではなく、吉野源三郎の「君たちはどう生きるか」という〝問い″にひとつの答えを提示する様な作品だと感じました。
その強さを目にして皆様が何を思われるかは皆様次第であり、そんな話を色々聞きたくなる作品である様に感じました。
是非出来るだけ情報を入れず、出来れば吉野源三郎の「君たちはどう生きるか」を読んで頂いて、(アポロビル2Fにある喜久屋書店でお求めいただけます)そして映画を楽しんで頂ければ、と思います。
このメールマガジンが皆様のかけがえのない映画体験の一助となれば幸いでございます。
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ふじもと
冬の食べ物が恋しいけど暑くて無理なのでなんとかなりませんか。
鍋とかおでんとかが食べたいです。