「セッション」アポロシネマではいよいよ6月26日まで!

こんにちは! あべのアポロシネマの藤本です。アカデミー賞三部門受賞作、『セッション』は好評中ですがいよいよ26日までの上映となりました! 今回は、まだ本作をご覧いただいていない方に、その魅力をお伝えさせていただきます。

M0000000765_3音楽大学1年生で才能のあるドラマー、ニーマン。彼はその才能を見いだされ音大で一番トップのビッグバンド(ジャズ)のクラスに入る事になるのですが、そのクラスの教授であるフレッチャーはとにかく神経質でプロフェッショナル。時間や音程、テンポでも狂っていようものならとにかく執拗に生徒を攻め続けます。精神的ハラスメント(嫌がらせ)、肉体的ハラスメント(嫌がらせ)が横行する教室内、やがてニーマン青年にも矛先が向き…という音楽映画には珍しい今作。昔音楽を少し(趣味程度ですが)嗜んでいた私としてはなかなかに興味深い内容でした。

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音楽を扱う映画において音楽は常に喜びだったり、自由の象徴であったり、希望であったり割と音楽の陽の面がクローズアップされる事が多いのですが、この映画はあえてそこには踏み込まず音楽の陰の部分を強く描いた作品になっています。スクリーンからアカデミック(学術的)な音楽業界の暗部を覗く様なその刺激が、この映画の他にない新しさや素晴らしさというものに直結している事を見ながら感じずにおれませんでした。公式のホームページ内でも記載されていますが、この映画の重要なキーは先生の持つ暴力性と狂気です。その狂気に応えようと全てを投げ捨てて答え続けるニーマン青年。さらにさらにと要求をエスカレートさせるフレッチャー教授。観ていてハラハラし続ける1時間45分でした。

M0000000765_sub4私がまずフレッチャー教授を見て思い出したのがかの名作『愛と青春の旅立ち(82年アメリカ)』の鬼軍曹でした。昔からこういう教授、先生はどこにでも居るかと思います(かくいう私も音楽の授業で扇風機を投げつけられた過去があるくらいですから、全国的に見れば多くの方が似たような体験をお持ちなのではと邪推してしまいますが)。今はそういう教え方をする人は随分減ったのではないかと思います。しかし、それこそ第一線で賞を取るような所では未だに多くこういう教え方の先生が居るのではと思わせるフレッチャー教授の迫真の演技。流石アカデミー助演男優賞受賞です。しかし同じようなシゴキタイプの鬼軍曹と鬼教師を描くにしてもやはり82年と14年。描かれ方が随分違うというのが、やはり面白い。

この映画で流される音楽もビッグバンド特有の管楽器弦楽器と非常に華やかで、演奏時のカット割りのキレの良さもこの映画の魅力の一つ。厳しいシゴキに胸を締め付けられながら、それでも鳴る音楽の美しさにやっぱり酔いしれつつ、最後までハラハラし続けて下さい!大きなスクリーンで大きな音でこの映画を是非ご鑑賞にいらしてください!


YouTube: 映画『セッション』予告編

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