出演:菅田将暉/松下洸平/町田啓太/原菜乃華 他
監督:松山博昭
あべのアポロシネマです。
本日は「BASARA」や「7SEEDS」など数々の名作漫画を描き上げた漫画家、田村由美さんが現在進行形で連載中の漫画の実写映画化作品『ミステリと言う勿れ』のご紹介です。
この作品は元々2022年にフジテレビでテレビドラマ化され大ヒットした作品で、主人公久能整(くのうととのう)くんがひたすらに思ったことを喋り続け、一見事件に無関係ともとれる整くんの言葉の数々が事件解決の重要な手掛かりとなる事もあれば、登場人物を支える言葉や救う言葉になることもある、というミステリ作品でありながら世相を反映させた現代的価値観の提示で人の心も救ってしまうという一風変わった作品であります。
整節(ととのうぶし)とも言うような淡々と真実を暴きつつ、人の心を解きほぐしてしまう主人公の姿はアフロの様な大きな天然パーマと細身で長身の一風変わった青年です。
演じるのは菅田将暉さん。
原作での整くんの印象は非常におっとりしておだやかながら、口を開くと歯に衣着せぬ物言いが止まらないクレバーな青年というイメージですが、菅田将暉さんがドラマ版、そして映画版を演じる事で漫画の主人公のイメージにプラスで愛嬌、可愛らしさが加わったように感じました。
そのことで整くんという難しい役どころのキャラクターに一層の深みが出たように感じます。
菅田さんのもつ愛嬌と整くんが持つ鋭さ、偏屈さ、繊細さなどが合わさって、本当にハマり役だなぁと今作を見て、ますます感じました。
今作は原作では2巻~4巻の間に描かれた物語で、ドラマの2話3話で放送されたバスジャック事件の後に起こった事件になります。
原作ファンの間では「広島編」と呼ばれ非常に人気が高いエピソードです。
個人的には原作もしっかり押さえながらドラマならではの方法で漫画では描き切れない様な細やかな部分もしっかり補完した完璧な「広島編」であるように感じました。
原作ファンとしては毎回、このエピソードはドラマだとどういう風に表現するのだろう、と思う部分もしっかり映像として物語に落とし込んで補強してくれるのが今作のドラマ版という印象だったので、その頼もしさはそのままに、よくある「漫画の実写映像化で大失敗!」みたいな事は絶対に無いという事をここに公言させてください!
ここはやはりドラマからメインで演出を担当している松山博昭監督がドラマからのいい流れ、作り方をそのまま映画に持ってこられたという部分が凄く大きいように感じました。
今回、物語のメインになるのは原菜乃華さん、町田啓太さん、萩原利久さん、柴咲コウさんの4人が演じる狩集(かりあつまり)家の一族の遺産相続問題。
これにボディーガード兼謎解き要員として招集された整くんが、一族が抱える様々な問題と謎に対峙していきます。
整くんが語る一つ一つの言葉のパンチ力と閃きの輝きを是非スクリーンで感じて頂きたいところです。
また、ドラマから使用されているKing Gnuの楽曲「カメレオン」もさることながら、映画用に書き下ろされた楽曲「硝子窓」も素晴らしくそれも是非映画館の音響で楽しんで頂きたいところです。
この作品はドラマから続く『ミステリと言う勿れ』の新しい物語です。
しかしドラマを見た事が無い人は置いて行かれるか、というとそんな事はなく、ここから『ミステリと言う勿れ』に入って頂いても充分楽しめる非常に間口の広い作品となっております。
ミステリを主題に置きながら、主人公整くんから放たれる言葉や考え方に胸を癒される素晴らしい作品に仕上がっています。
皆様もこの作品をスクリーンで観る事で『ミステリと言う勿れ』デビューしてみませんか。
きっと皆様の心に届く素晴らしい映画体験になると思います。
スタッフ一同、あべのアポロシネマで皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。
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★☆執筆者紹介☆★
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ふじもと
最近美味しいゴーヤチャンプルを作ってもらって食べました。
ゴーヤチャンプルが好きです。