2024年11月1日(金)公開『アイミタガイ』
出演:黒木華/中村蒼/藤間爽子/他
監督:草野翔吾
あべのアポロシネマです。
本日は過去に『にがくてあまい』、『彼女が好きなものは』などを監督し、
次回作には来年2月7日公開の『大きな玉ねぎの下で』を控える新進気鋭の若手映像作家、草野翔吾さんが監督を務めた最新作、『アイミタガイ』のご紹介です。
この映画は2013年に刊行された中條ていさんの小説「アイミタガイ」が映画化されたものです。
この物語は人々の何気ない暮らしの中で互いを思いやる気持ちが連鎖して物語になっていく群像劇を描いています。
この優しくて暖かい物語が黒木華さん主演で映画化されるという事で楽しみにしていたのですが、思った以上にハマり役でして、
その優しさが自然にスクリーンから滲み出る様な演技が本当に素晴らしく、引き込まれるものがありました。
黒木華さん演じる主人公の秋村梓(あきむらあずさ)はウェディングプランナー。
仕事に悩みながら日々を暮らしています。
カメラマンの仕事をする郷田叶海(ごうだかなみ:演じるのは藤間爽子さん)とは親友で、学生時代から仲が良く、大人になっても頻繁に会う間柄です。
そんな親友の叶海がカメラマンとして仕事で向かった海外で事故により急死してしまいます。
物語は亡くなった叶海を中心に、残された主人公梓や叶海の両親、
叶海の家の近くに住んでいる老人、梓の交際相手の澄人、といった身近な所から始まり、
それぞれがつながりながら物語が進んでいきます。
梓が喪失と失意の中から立ち上がり、再び歩き出すまでを描いた作品になっています。
冒頭でも書かせて頂きましたが、
まず黒木華さんの親友と話すシーンや交際相手と話すシーン、他にも会社で働くシーンやおばあちゃんの家で過ごすシーンなど多くのシーンで感じる事が出来るその「自然さ」。
これがこの作品の本当に素晴らしい所です。
演技を超えたナチュラルさがあるというか、黒木華さんの持つ透明感を存分に発揮できていて、その自然さと美しさはスクリーンでこそ見て頂きたいものになっています。
交際相手の澄人を演じた中村蒼さんの抜けた優しい演技も素晴らしく配役の完璧さを感じました。
他にも叶海の両親役の西田尚美さんと田口トモロヲさんも素晴らしかったですし、端の端まで行き届いた配役が、本当に痒いところに手が届くような良い映画だなぁとしみじみ感じました。
黒沢清監督『Chime』や『Cloud』で怪演を見せてくれた吉岡睦雄さんや他にも意外なキャストがどれもバチっとハマって本当に気持ちの良い映画になっています。
様々なシーンで描かれる目に見えない人と人のつながり。
そのつながりが「相身互い(アイミタガイ)」という言葉と共に、観る人全ての心に沁み渡っていく様に私には感じられました。
またこの作品はシーン毎の風景が凄く良いです。
三重県桑名市を中心に名古屋まで近鉄沿線を中心に素敵な街並みを観る事が出来ました。
駅のホームや電車のシーンも多く、そこに生活する人々の暮らしを感じる事が出来、そういった部分も作品にリアリティを与え、この映画の良さに直結している様に感じました。
映画の主題歌は黒木華さんが唄う「夜明けのマイウェイ」。
1979年に日本テレビ系ドラマ「ちょっとマイウェイ」の主題歌としてパルというグループによって唄われた「夜明けのマイウェイ」のカバー曲です。
シンプルなアコースティックギターのアルペジオから入るアレンジも素晴らしいので、エンドロールで流れる時に是非聞き惚れてみてください。
親友の死から立ち直れず、死んだ親友へ答えの来ないメッセージを送り続ける梓。
一歩前に踏み出す勇気を彼女はどうやって得ていくのか。
娘を失った両親が、どんな出来事をきっかけに前を向き、再び止まった時を動かすのか。
『アイミタガイ』の優しい結末をスクリーンで是非確かめて頂ければと思います。
物語がつながるその瞬間、皆様の心に暖かな優しさの火が灯る事請け合いです。
是非あべのアポロシネマに『アイミタガイ』をご鑑賞にいらしてください。
それは皆様にとって大切な素晴らしい映画体験になるのではと思っています。
あべのアポロシネマで皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。
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★☆執筆者紹介☆★
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ふじもと
作中にちらし寿司が出てきます。
ちらし寿司ええなぁと思いました。